夕日に背中を押されながら、私と武は2人で帰宅していた。
明日は武の大事な野球の試合がある。


「なぁ、明日の試合見に来るよな?」


「当たり前じゃない」



私が武の出る試合に行かなかった事ないでしょ?



と苦笑しながら私が言った。


「明日の試合でさ・・・」


「何?」


「もしホームラン打ったらさ・・・」


ふと武を見上げると、いつになく真剣な武の顔。
思わず私は目が逸らせなかった。



「               」



「っ!?」





ホームランに愛を込めて





試合もいよいよ終盤。
ここで武が決めれば逆転でうちの学校の勝利。
バッターアウトになればその時点で負けが決まる。
結構ピンチな状況だ。


緊張している空気の中、武がバッターボックスに立った時、ふと目が合った。
私は、絶対大丈夫!と思いを込めてグッと親指を立てた。
それを見た武がふっと笑った。


一同が息を呑んで見つめる中、ピッチャーがボールを投げた。



お願いっ!



そっから私にはスローモションに見えたような気がする。



カキン



小気味の良い音がグラウンドに響いた。
そして次の瞬間、歓声が湧き上がった。


「うそ・・・や・・・やった!武がホームラン打った!」


私は思わずその場で跳ね上がってしまった。


グラウンドではホームランを打った武が塁を走っていく。
このさよならホームランでうちの学校の勝利が決まった。
ベンチに戻って行く武がチームメイトに喜びのあまり
もみくちゃにされるのが見えた。


そんな姿を見て、私は自然に涙と笑顔が出ていた。



やったね、武。





試合も終了し、表彰式も終わった。
私は武の支度が終わるまで、誰も居ないグランドに足を運んだ。


武のホームランを打った姿がちゃんと目に焼きついている。
ホームラン打ったあの時の武、最高に素敵だったよ。


「俺のホームランはちゃんと届いたか?」


ふと声がして振り返ると、そこにまだユニホームのままの武が立っていた。


「届いたよ、ちゃんと」


私は武の元に駆け寄り、言った。
ちゃんと真っ直ぐ武を見た。




昨日の帰り、私は武に告白された。



「俺さ、のこと好きなんだ」



明日の試合でホームラン打ったら返事聞かせて欲しい、と。




「私も大好きです」




ちょっと照れくさそうに言うと、武が笑って抱きしめてくれた。

















◆アトガキ◆
もっさん相手だと青春してますっ!って感じになりますね。
ピンチな場面でホームランはカッコイイぞ。












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