カランカラン


「ありがとうございましたー」


木製の扉を開けて客が出て行く。
はそれを見送り、テーブルを片付けた。
店内を見回すと、お昼時を過ぎたためか数組しか客がいない。



(やっと空いてきたわね・・・)



今はちょうど夏休み。
でなくてもお昼時は忙しい店だ。
は凝った肩を軽く叩いて溜息をついた。



カランカラン



ちょうどその時、扉が開く音がした。
は急いで接客用のスマイルを貼り付け振り返った。


「いらっしゃいまーー!?」


そしては止まった。



「よっ」



「やぁ」



(何で居るのぉー!?)



が絶叫するのも無理はない。
扉を開けて入ってきたのは、此処に来るはずもない
ホグワーツでの友人、シリウスとジェームズだった。



(って・・・いかんいかん。仕事中だわ)



「お、お客様こちらの席へどうぞ」


思わぬ来客に戸惑ったが、流石に仕事中なので
顔を引き攣らせながらもは2人を案内した。


席に案内した後、何故か始終笑顔の2人を残し
は水とお絞りを取りにカウンターに戻った。


「で、ご注文は?というか何でここに居るの?」


夏休み中自分が此処でバイトしている事は
この2人は知らないはず。


「僕らに不可能は無いよ。あっ、僕このレモンパフェね」


の表情を察してかジェームズが言った。
ご丁寧に本当に注文までしてくれた。


「意味分からん」


伝票にレモンパフェと書きながらが答える。


「シリウスは?」


「ほら、シリウス言えよ」


ジェームズがニヤリと笑ってシリウスを小突く。


「いや、その・・・」


「何?注文しないの?」


「違げぇーよ」


「じゃぁ何よ?」


ビシリとシリウスに詰め寄る。
シリウスは一息ついて口を開いた。





「急にお前に会いたくなったからよ・・・」





来ちまった。
と、開き直ったのか笑いながらシリウスが言った。


「は?」


珍しくシリウスが口ごもるから何かと思ったら。
いや、嬉しいんだよ。シリウスがそんなこと言ってくれるなんてさ。
そんな思いとは反対に、は呆れてシリウスを見た。


「夏休み始って僕の家に来た途端これだからさ、
しょうがないからリリーに君のバイト先聞いたんだよ」


ジェームズも笑いながら言った。


「まったく・・・。来週海に行く時に会うじゃないのよ」


「だから言ったろ、急に会いたくなったって」


「はいはい。でも、わざわざ会いに来てくれて嬉しかったよ」


珍しく可愛く笑ってみた。
そしたらシリウスの顔がほんのり赤くなった。


「あっ、俺アイスコーヒーね」


照れ隠しなのかシリウスはメニューに顔を落とし、
アイスコーヒーを頼む。
そんなシリウスを見てはクスリと笑った。


「オーナーに頼んで早くあがらせてもらうから。
それまでゆっくりしててちょうだい」


オーダーをしにカウンターに戻る際、が言った。
その言葉を聞いて、2人とも喜んで返事をしてくれた。








「そういえば、そのエプロン似合ってるな」


「そんなこと言っても何もでないわよ」









END

















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