まさか先生方と大臣が来るとは思わなかった。
嫌な予感がする・・・
〜過去の話〜
も予期していなかった出来事に目を見開いた。
とっさに、とロンとハーマイオニーが同時に
ハリーの頭のてっぺんに手を置いて、ハリーをグイッとテーブルの下へ押し込んだ。
ハリーの持っていたバタービールがこぼれ様がずり落ちようが今は構ってられない。
「モビリァーブス、木よ動け!」
ハーマイオニーが小声で呟き、傍にあったツリーを
自分達のテーブルの前に移動させた。
これで向こうが気づくことは無いだろう。
暫くするとマダム・ロスメルタが飲み物を渡している声がした。
「君も一杯やってくれ・・・こっちに来て一緒に飲まないか?」
「まぁ、大臣、光栄ですわ」
盗み聞きする訳ではないのだが、マダム・ロスメルタを含め
5人の会話が耳に入ってくる。
(私ったらどうして気づかなかったのよ。
先生達にとっても今日は今学期最後の週末なのよね。
この状態ならハリーは見つからないでしょうけど・・・
メンバーがメンバーだし・・・それにファッジがいるのなら・・・多分あの話。
・・・このまま会話を聞いてたら内容としてやばいわね・・・)
はツリーの陰に隠れ聞き耳を立てている2人をチラッと見た。
テーブルの下に居るハリーももちろん同じ事をしているだろう。
「それで、大臣、どうしてこんな片田舎にお出ましになりましたの?」
ファッジは誰か立ち聞きしていないかチョックしながら、低い声で言った。
「ほかでもない、シリウス・ブラックの件でね」
(ほらきた・・・)
の心配は当り、それからさらにシリウス・ブラックの事、
さらには学生時代の話まで引っ張り出してきた。
「ブラックのホグワーツ時代を覚えていると言いましたね、ロスメルタ」
マクゴナガル先生が呟くように言った。
「あの人の一番の親友が誰だったか、覚えていますか?」
「えーえー、ここにはしょっちゅう来てましたわ、あの2人にはよく笑わされました。
まるで漫才だったわ、シリウス・ブラックとジェームズ・ポッター!」
ロスメルタのこの言葉に、テーブル下にいたハリーが大ジョッキを落とした。
以外にも大きな音を立てたので、ロンがハリーを蹴った。
(まずいわね・・・。このままじゃハリーが知ってしまう・・・。
下手したら私の名前まで挙がりかねない・・・)
防音魔法でも掛けようと思ったが今更会話が聞こえないのも不自然すぎる。
「ポッターは他の誰よりブラックを信用した。卒業しても変わらなかった。
ブラックはジェームズがリリーと結婚したとき新郎の付き添い役を務めた。
2人はブラックをハリーの名付け親にした。ハリーはもちろんまったく知らないがね」
そして会話は進み、とうとう言ってしまった。
の肩がピクリと微かに動いた。
「ダンブルドアはブラックを疑っていらした?」
ロスメルタが息を呑んだ。
「ダンブルドアには、誰かポッター夫妻に近い者が2人の動きを
『例のあの人』に通報しているという確信がおありでした」
「『例のあの人』は幼いハリーのために凋落した。
残されたブラックにしてみれば、まったくいやな立場に立たされてしまったわけだ。
自分が裏切り者だと旗幟鮮明にしたとたん、自分の旗頭が倒れてしまったんだ。
逃げるほかなかった」
「くそったれのあほんだらの裏切り者め!」
ハグリッドの罵声にバーにいた人の半分がシンとなった。
急いでマクゴナガル先生が嗜める。
(違う・・・シリウスはそんなことしない!!!)
は必死に心で思う。それは真実ではないと。
ただ言われっぱなしで、何も出来ない自分が悔しかった。
の中でいろんな感情が沸き起こる中、話は進んでいく。
ハグリッドがシリウスに会った最後の夜の話を終えると、
少し間をおいてマクゴナガル先生が悲しそうに別の話に切り替えた。
「でも本当に可哀そうなのは、あの子ですよ」
「あぁ、彼女じゃな」
「『例のあの人』の時もポッター夫妻が殺された時も、彼女はいた」
『あの子』と言われた人物にはすぐにピンときた。
あの時もあの夜の時も、そんな所にいたのは私しかいない。
何故か彼らはの名前は言わなかった。
ハリー達にバレずに済んだのは幸いだった。
「あの子は彼らと本当に仲が良かった」
「何年もあの子を見てきましたが、あの時が一番楽しそうな顔をしていましたよ」
「悪戯する時も彼らと一緒だった」
「あの子がブラックと婚約したと聞いたときは本当に嬉しかった」
「なのにブラックは彼女をも裏切ったんだ」
(私はシリウスを信じてる)
そこで少しの沈黙が漂った。
はチラリと目の前に居るロンとハーマイオニーに目をやる。
2人とも誰の事を言っているのか分かってないようだ。
多分ハリーも同じだろう。
そしてハグリッドが再び口を開く。
「彼女はいろんな事で苦しみすぎだ」
「えぇ、1人で抱えすぎなんですよ」
(私1人が悩んでいるわけじゃない・・・)
マクゴナガル先生の言葉にが心の中で呟く。
テーブルの上にガラスを置くカチャカチャという小さな音がした。
「さぁ、コーネリウス。校長と食事なさるおつもりでしたら、
城に戻ったほうがいいでしょう」
マクゴナガル先生のその言葉を合図に、1人、また1人と出口へと歩いていった。
『三本の箒』のドアが開き、また雪が舞い込み、先生方は立ち去った。
少しシンとした空間では俯いていた。
今のには周りの声は何も聞こえない。
(シリウス・・・貴方は・・・何を考えているの・・・?)
ロンとハーマイオニーはハリーを気にして気づかなかった。
俯いていたの肩が震えていたことと人知れず涙が流れていたことを。
彼女の思いは此処に居る誰にも届かなかった。
つづく
◆後書き◆
やっちまいました。。。
の話題を出さない訳にもいかなく、尚且つ名前を出す訳にもいかなく・・・
な状況で書きづらいところでしたね;
うちのヒロインさんは基本的にいろいろな面で強いです。
でもこれからちょっとだけ(ちょっとだけですよ)折れてもらいます。
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