今日という日は




少し忘れられない気がした







〜医務室と少しの進歩〜








「あぁ・・・最初の授業でやっちまうなんてーーー」


医務室に着いた、ハグリッド、マルフォイ。
到着早々は真っ青なハグリッドの代わりにマダム・ポンフリーに事情を説明した。
マルフォイはマダム・ポンフリーに怒られながらも怪我の手当てをしてもらっている。


「俺がしっかり授業をしていればーーー」


今にも泣き出しそうな声でハグリッドは言った。
そんなハグリッドを、は気の毒に見る。


「ほら、ハグリッド。ここは私がいるから戻ってて」


少しでもハグリッドを落ち着かせたいは、戻りように勧める。



「だがーーー」



「大丈夫よ。マルフォイにはよく言っとくし、ハグリッドは何も悪くないわ!」


これだけはきっぱり言った。



「ありがとな」





「大丈夫」





は再度ハグリッドに言った。
しぶしぶ後の事を任せることにしたのか、
ハグリッドは頼んだぞと言って医務室を出て行った。








「あっ、怪我の具合は大丈夫ですか?」


後ろから呼ばれたので振り向いたら、マダム・ポンフリーが立っていた。


「えぇ、大丈夫よ」





「マダム・ポンフリーに治せないものはありませんからね」





そう言って2人はクスリと笑った。


「そうそう、ちょっと薬の材料が切れたから温室に行きたいんだけど・・・」


「あっ、暫くはここに居るから大丈夫ですよ」


「ありがとう、助かるわ」


そう言ってマダム・ポンフリーはいそいそと医務室を出て行った。


はマダム・ポンフリーを見送ってからそっとマルフォイの寝ているベッドに寄った。


マルフォイはとは反対の方を向いているので、寝ているのか分からない。
はマダム・ポンフリーが帰ってくるまでベッドの傍で本を読ませてもらうことにした。




時間にしてはほんの数分。
の本をめくる音だけが、静かな医務室に聞こえる。







「・・・悪かったな」







その静寂を破るように急にマルフォイの声がしたので、
は集中していた本から目を離し、顔を上げた。




「へ?」




「だから、さっきのことだ!二度も言わせるな」







「マルフォイ・・・あんた・・・」











「素直で気持ち悪いわよ」










目を見開いたが、間を置くなりそう言った。
目の前にいるマルフォイは馬鹿らしくて力が抜けているようだ。





「君なんかに謝った僕が馬鹿だった」





溜息とともにそう言った。




「冗談よ。・・・でもマルフォイが謝るなんてね、明日の話題かっさらいよv」




悪かった〜、と楽しそうに物真似してが言った。


「さっきのことは忘れろ!」


気のせいか顔がほんのり赤くなっている。




「まっ、怪我も大した事なくて良かったわね〜坊ちゃん」



「坊ちゃんじゃない!」




「まぁまぁ、マルフォイ。落ち着きたまえ」



からかうのが面白くなってきたのかが笑う。
そこでマルフォイが黙ってから顔を背けた。







「・・・で良い」





「え、何?」


は急に黙ったマルフォイを見た。
そっぽを向いたマルフォイの言葉はあまり大きな声
ではなかったのでが聞き返した。








「・・・ドラコで良い」








「は?」


「だからドラコで良い!」








本日2回目だ。
目の前のマルフォイに驚かされたのは。








少しムキになったマルフォイを驚いた顔で見た。





「ドラちゃん?」





「ドラ●モンかよ!?」





「あはは(知ってるのか?!)」





「ドラ子?」





「何か違う気が・・・」










「ドラコ」







「・・・」



が真面目に名前で呼んだので、
ドラコは恥ずかしくなって顔を逸らした。



「なによ〜」



その行動には可笑しくなってクスクス笑った。

後ろの方で扉が音を立てた。マダム・ポンフリーが帰ってきたようだ。





「それじゃ、そろそろ帰るね」



「・・・あぁ」






「そうそう、これに懲りてあんまり騒ぎ立てないでね。心配性な人がいてくれるんだから」



はスリザリンの生徒、特にパンジーや腰巾着2人組みを思い浮かべる。



「ふん」



そう言うとドラコは鼻で笑った。
は苦笑しながら立ち上がり、カーテンの外に出ようとしたがそこで立ち止まった。





「何だ?」






「ルシウスにぐちぐち言わないでね」






は険しい顔でドラコに言った。
父親の名前が出た事で、今まで思っていた疑問をドラコは口に出した。




「・・・前にも思ったんだが、は父上を知っているのか?」









「・・・知ってるだけよ・・・」








の答えはそれだけだった。
そしてさっきより真剣な声で言った。







「ルシウスみたいになっちゃダメよ」







それだけ言い残し、はカーテンの外へ出た。
やがて医務室の扉が閉まる音も聞こえた。





の言葉に、残されたドラコはただ疑問を浮かべるだけだった。








〜つづく〜
















◆アトガキ◆
当サイトでは珍しいドラコ夢!
ファーストネームで呼ぶきっかけが欲しくて書きました(笑)
ドラコってセブの次にからかいがあるなぁ〜と思いますね。










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