ポツ・・・ポツ・・・ザーッ


突然の水滴音。
がふと窓の外を見ると、雨が降っていた。
下では、急な雨に校舎内に戻ろうと慌しく走っている生徒が見える。


（良かった・・・傘持ってきて）


天気予報で午後から雨が降るかもしれないと言っていたのだ。
は、窓から授業内容の書かれている黒板へと視線を戻した。





「起立ー礼ー」


『さようなら』


放課後、一斉に教室から出る生徒。
もそれに続き、下駄箱に向かった。


下駄箱に着き、は外を見る。
傘を差している生徒もいれば、タオルや鞄だけで走って帰る生徒もいた。


「買い物に行こうと思ったのになー」


土砂降りほどではない雨。
しかし、雨の中寄り道するのは少々面倒なものである。


が傘を取り出していると、後ろから声を掛けられた。




「なァ、傘忘れたんだけど・・・入れてくんね？」




が振り返ると、そこにいたのはシリウスだった。


「なんだシリウスか」


「俺で悪かったな」


ムスッとしたシリウス。
それをちょっと可愛いな、と思ってしまうのは可笑しいだろうか。


「別に。で、傘忘れたの？」


「朝は晴れてたからな」


「天気予報で午後から雨だって言ってたのに」


「んな暇ねぇーって」


「それもそうね、遅刻常習犯」


ニヤリと笑ってやる。
シリウスは毎朝遅刻の常習犯だった。


「しょうがねーだろ、朝は眠いんだ」


私だって眠いわよ。
は心の中で突っ込んだ。


「はぁ・・・傘、入っても良いけど、シリウスが持ってよ」


身長差あるんだから。
そう言っては傘を広げシリウスに渡す。


「ほら、行くよ」


「はいはい」


シリウスはから傘を受け取った。
そして2人で傘に入り、校舎を出た。





「ほら、濡れるぞ」


そう言ってシリウスはの肩をぐっと自分の方へ寄せた。



どきっ



その瞬間、心臓が煩くなったのは、きっと気のせいではないだろう。
ちらりとシリウスを見ると、本人もほんのり顔が赤かった。





「ありがとう」



いつまでも鳴り止まない鼓動。



どうか雨の音に紛れてくれます様に。











END

















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