3年生になってから早1ヶ月。
ハロウィーンの朝のことである。







〜久しぶりの和み〜







ハロウィーンの日はホグズミードで買い物、と決まっている
今年最初のホグズミード行きを断り、朝からリーマスの部屋に居た。


小さテーブルには、紅茶の入ったカップが2つと
バスケットに入ったお菓子が置いてある。



「ふぅ・・・何かやっとゆっくり話ができるって感じよね」



熱い紅茶をすすりながらが言った。
あのボガートの授業以来、魔法薬学の授業はいつにも増して酷いもので、
ハリー達に言わせれば占い学の授業もどっこいどっこいらしい。



「そうだね」



2人以外の人が居ないせいか、お互い自然と口調が戻る。



「ごめんね、突然押しかけちゃって」



「いや、僕は構わなかったし。それよりこそ良いのかい?
今日はホグズミードの日だよね?」



リーマスは傍にあったチョコレートクランチを頬張った。



「買い物はほとんどフレッドとジョージに任せたから大丈夫よ」



「悪戯グッズだね?」



教師の立場だからなのかリーマスがを見ながらため息をついた。
その答えには悪戯っぽく微笑んだ。



「懐かしいな・・・こうしてリーマスとお茶会なんて・・・」




最後に会ったのいつだっけ?




はそう言ってカップを置き窓の外を見た。
リーマスもつられて窓に視線を移す。
その2人の表情はどこか切なくどこか悲しいものだった。
そして暫くの沈黙。



「そういえば、脱狼薬は?作ってくれてる人がいるって聞いたけど?」



意外にも沈黙を破ったのは



「あっ、あぁ・・・その件ならセブルスが作ってくれているよ」



リーマスは、はっと我に返りを見た。



「セブルスが?よく作ってくれる気になったわね;」



「まぁね。今日も届けに来てくれる予定なんだ」



クスリとどこか黒いものを含んだリーマスの笑いに




(絶対脅したんだ・・・)




と心の中では苦笑した。





カタッ



急にリーマスが立ち上がりドアから顔を覗かせた。



「リーマス?」



突然のリーマスの行動に?を飛ばす
ドアを開ける音がしてリーマスが誰かを呼び止めた気配がした。
そしてまたドアを閉める音がした。
リーマスと一緒に部屋に入ってきた人物はハリーだった。



?!ホグズミードに行ったんじゃないの?」



中に入ってきたハリーはを見ると止まった。



「買い物は皆に任せて、ルーピン先生とお茶会中」



は椅子に着き直し、紅茶とお菓子に目をやる。



「ハリー、紅茶を飲むかい?」



リーマスがティーカップを取り出す。



「いただきます」



ハリーはぎこちなく答え、の隣に座った。



「心配事があるのかい、ハリー」



熱い紅茶を入れたティーカップをハリーに渡しながら
リーマスが聞いた。



「はい、あります」



ハリーは少し紅茶を飲み、出し抜けに言った。



「どうして・・・僕にボガートと戦わせてくださらなかったのですか?」



これにはもリーマスもちょっと驚いた。



「ハリー・・・まだ気にしてたの?
そんなこと言ったら、私だってそうだったじゃない?」



がハリーに返した。



「まっ、理由は違うだろうけど・・・ね」



リーマスに向かって目配せする
それを見たリーマスが苦笑と共にハリーに言った。



「ボガートが君に立ち向かったら、
ヴォルデモートの姿になるだろうと思ったからだよ」



ハリーは目を見開いた。
多分リーマスがヴォルデモートの名を口にしたからだろう。



「最初は確かにヴォルデモートを思い浮かべましたけど、
僕は・・・ディメンターのことを思い出したんです」



ハリーは正直に言った。
それを聞いたリーマスは賢明なことだと言って微笑んだ。
ハリーは気持ちがいくらか軽くなったようだ。



「ルーピン先生。あのディメンターのことですが-----」





ちょうどその時ドアをノックする音で話が中断された。



「どうぞ」



ドアが開いて、部屋に入っていたのはセブルスだった。



「あらセ・・・じゃなくてスネイプ先生わざわざご苦労様です」



何故かがニッコリ微笑んでスネイプから持っていたゴブレッドを貰う。



「セブルス、ありがとう。、そこのデスクに置いといてくれ」



リーマスも笑顔で言った。



「ルーピン、すぐ飲みたまえ」



「はい、はい。そうします」



不機嫌な表情を変えないセブルスにリーマスは苦笑しながら答えた。



「一鍋分を煎じた。必要とあれば」



「たぶん、明日また少し飲まないと。セブルス、ありがとう」



「礼には及ばん」



そう言って、を睨みながらセブルスは部屋を出て行った。





「おー怖い怖い。あんな顔してるとシワが増えるわよ」





セブルスが去った後を見て、がベーッと舌を出して文句を言う。
そんなを見て、ハリーとリーマスは苦笑した。



「スネイプ先生がわたしの為にわざわざ薬を調合してくださった」



リーマスはゴブレッドを取り上げ匂いを嗅いだ。



「これはとくに複雑な薬なんだ」



そう言うリーマスの片手は砂糖が入った箱に伸びようとする。



「だからと言って、砂糖はダメですよ」



はすぐさまリーマスの手をベチッと叩いて、笑顔で注意する。



「砂糖を入れると効き目がなくなるのは残念だ」



リーマスが苦笑しながら一口飲み、顔をしかめた。




(リーマスは甘党だからね)




は心の中で苦笑する。



「ひどい味だ。さぁ、仕事を終わらせてしまおう。あとで宴会で」





そう言って、とハリーはリーマスの部屋を出て行った。


廊下を歩いている時、ハリーは顔をしかめていたが
は気にしなかった。











つづく










◆アトガキ◆
ぶっちゃけ・・・
この話から2話くらいは、結構前に既に下書きが出来てました(爆)
ヒロインさんとリーマスだけ平和だなぁ〜(笑)
セブとの絡みは次の話でたーっぷりv(フフフ)















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