黙っていた私を許してくれますか?
〜疑惑〜
「エクスペリアームス、武器よ去れ!」
誰一人として動かない空間で、リーマスがいち早く行動を起こした。
リーマスが呪文を唱えると、それぞれの杖がリーマスの手に収まる。
そして口を開いた。
「シリウス、あいつはどこだ?」
ハリー、ロン、ハーマイオニーは何を言っているのか理解できなかっただろう。
そしてシリウスが取った行動にも理解できなかっただろう。
「もしかしたら、あいつがそうだったのか」
シリウスが指差した方向にはロン。
リーマスは目を見開き、急に悟ったように呟いた。
「ルーピン先生」
しんとした中でハリーが大声で割って入った。
「一体何がーーー?」
ハリーの問いが途切れた。
ハリー、ロン、ハーマイオニーが予想もしなかったことが目の前で起こったのだ。
リーマスが構えた杖を下ろし、次の瞬間、リーマスはブラックを
助け起こし兄弟かのように抱きしめたのだから。
そして誰も気づいていなかった。
未だドアから一歩も動かないが、
真っ黒いオーラを身にまとい、俯いて肩を震わせていることを。
「なんてことなの!」
ハーマイオニーが叫んだ。
「先生は・・・その人とグルなんだわ!」
「ハーマイオニー、落ち着きなさい」
取り乱すハーマイオニーをリーマスは落ち着かせようとする。
が、ハーマイオニーは言ってしまった。
「ハリー、騙されないで。この人はブラックが城に入る手引きをしていたのよ。
この人もあなたの死を願っているんだわ。−−−この人狼人間なのよ!」
痛いような沈黙。
顔色は悪かったが、リーマスは驚くほど落ち着いていた。
「いつもの君らしくないね、ハーマイオニー。
残念ながら、三問中一問しか合っていない。
私はシリウスが城に入る手引きはしていないし、
もちろんハリーの死を願ってなんかいない・・・」
そしてリーマスが重い声で言った。
「しかし、私が狼人間であることは否定しない」
いつ頃気づいていたのか?と言う質問に、
ハーマイオニーはセブルスの授業の時からと答えた。
「ハーマイオニー、君は、私が今までに出会った君と同年齢の魔女の、誰よりも賢いね」
「違うわ。私がもう少し賢かったら、皆にあなたのこと話してたわ!」
ハーマイオニーの言葉に、
少なくとも先生方は知っている、とリーマスが言った。
「ダンブルドアは、狼人間と知っていて雇ったっていうのか?」
ロンが息を呑んだ。
「そして、ダンブルドアは間違っていたんだ!
先生はずっとこいつの手引きをしていたんだ!」
ハリーが叫びながらブラックを指差した。
「私はシリウスの手引きはしていない」
リーマスがハリーを宥めるように言った。
「わけを話させてくれれば、説明するよ。ほらーーー」
そう言ってリーマスはハリー達に杖を放り投げた。
ビクッ
その時、リーマスの背筋に悪寒が走った。
恐る恐るチラリと見てみると、そこには。
一緒に来たはずなのに、先ほどから声がしないと思っていた。
青ざめたリーマスは、話の途中であるがシリウスの傍をゆっくりと離れた。
「リーマス?・・・・・・・げっ!?」
不自然に離れていくリーマスにシリウスは声を掛けたが、
リーマスの退いた位置から彼は見えてしまった。
彼の顔が青く、自分から離れた原因を。
沈黙。そして一間置いて声が聞こえた。
「・・・何が、げっ!?ですって?・・・」
「あっ・・・いや・・・その・・・」
発せられた声は、それはもう恐ろしかった。
黒いオーラを纏ったがツカツカと近づいてきた。
どもったシリウスはもちろん、その場にいた全員の背筋が凍った。
そして次の瞬間
「このヘタレバカ犬がぁぁぁー!!!!」
はシリウスを(何処から出したのか)巨大ハリセンで懇親の一撃で叩いた。
つづく
◆後書き◆
最後のシーンを書きたかったんです(爆)
飛び蹴りでも良かったんですよねぇー。
というかこの後が困難;
ヒロインと親世代関係の説明も入れなければならぬ・・・;
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