〜日焼けの痕は〜



真夏の太陽が照りつける中、競技場に声が飛び交う。


ー!パス!」


「ビター!ちゃんと打ち返してよね!」


「こっち回して!」


ホグワーツも夏休みに入ったある日。
いつもなら夏休みには誰も居ないホグワーツに人の気配がある。


その理由はこうだ。
いつものように校長が突然の思い付きで
上級生の進路対策として夏期講習を設けようという事になったのだ。
当然ながらもその親友のジェームズ達も上級生で
1週間ホグワーツに残り夏期講習を受けているのだ。


その夏期講習のおかげで、クィディッチでチームのキャプテンが
「折角残っているんだ!優勝杯獲得の為にも練習やるぞ!」
と1人闘志を燃やし、夏期練習をすることになった。



そして今に至るわけだ。



「今日はここまでにしよう!」


キャプテンが終了の合図をメンバーに送ると
メンバーはいっせいに地上に降り立った。
太陽が照りつける中での練習だった為
ほとんどの人の顔が日焼けして汗が滴っていた。


、後でフィルチに悪戯仕掛けに行かないかい?」


チームのロッカーに戻って支度をしていると
後ろからジェームズの声がした。


「良いね〜行く!」


「じゃぁ早く戻ろう。シリウス達が待ってる」


とジェームズは荷物を持ってロッカーを後にした。




「それにしても・・・暑いね」


「そうだね。箒で飛んでいるだけまだマシだね」


とジェームズは他愛の無い話をしながら寮に続く小道を歩く。


「風に当たれて良いのよね〜」


は両手を広げ風を受ける真似をする。
するとそこへタイミング良く爽やかな風が吹いた。


「あっ」


が風が吹く方向を見ると何かを発見した。


「どうかした?」


「ゴメン、ジェームズ!先に戻っててくれない?」


「良いけど・・・じゃぁ後でね」


ジェームズの返事を聞くや否や
は先ほど風が吹いた方向へ走り出した。





「やっぱり」

暫く走ると少し大きめな木の下に人が居るのを見つけた。
は音を立てずにそっと歩いてその人物の後ろに回った。
そして、そっと耳元に顔を近づけ叫んだ。




「あぁ〜!マンドラゴラの大群だぁ〜!」




「・・・」



「何よ〜もっと反応してちょうだいよ」


あまりにも無反応な目の前の人物には頬を膨らませ
隣にドカッと座り込んだ。


「マンドラゴラの大群を送りつけて欲しいのか?」


「めっ・・・滅相も御座いません」


真顔で怖い事を言う人物、セブルス・スネイプに
は冷や汗をかきながら謝った。


「・・・」


「何よ?」


セブルスは急に黙り込みをじっと見つめた。


「いや、クィディッチの練習か?」


「そうなのよ〜うちのキャプテン張り切っちゃって」


「・・・」


「だから何なのよ」


黙り込みじっと見てくるセブルスをは睨んだ。



「焼けたな」



「えっ?あぁ〜日焼け?」


確かに夏期講習に入る前に比べの肌は日焼けしていた。
さっきロッカールームに居る時も鏡で再確認させられている。


「当たり前じゃない。炎天下の中で練習してるんだもん」


と愚痴をこぼしながら
自分の日焼けした腕とセブルスの腕を見比べる。



「大体・・・セブが白すぎ!っていうか不健康肌!」


「不健康って・・・」



突然ズビシッと指してきたにセブルスは呆れながら呟く。


「ろくに運動もしないで暗いところばっかりに生息してるからよ」


「人を変な生き物と一緒にしないでくれ」


「セブルスと言う立派な生き物じゃない」


はぁー、とセブルスは盛大な溜息を吐いた。
そのセブルスの溜息に、溜息をつきたいのはこっちだと
心で思いは睨み返した。


「まったく・・・たまには運動しなさいよ!」


「してるじゃないか」


セブルスはそう言っておもむろに立ち上がり歩き始めた。


「運動してるって・・・いつも本しか読んでないじゃないー!」


は慌ててセブルスの後を追っかけた。
すると突然セブルスが立ち止まった。


「わっ。何よ・・・隠れてこっそり筋トレでもしてるの?」




「運動ならしてるじゃないか・・・夜にな」




一緒に立ち止まったの耳元で囁いた。




「はっ・・・なっ!?」




その言葉を理解したは顔を真っ赤にさせ
セブルスに怒鳴った時には、セブルスは既に
数メートル先に居てニヤリと意地の悪い笑みを浮かべていた。








END











◆後書き◆
最近危ない路線好きだな・・・。





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