〜迷惑な暑中見舞い〜






僕の愛しい

暑中見舞い申し上げます。
暑い中元気にしているかい?
僕は君に逢えない寂しい日々を過しているよ・・・。

(面倒くさいから以下略/笑)
 




「はぁ〜」


は夏休みに入ってから何回目か
分からない長く深い溜息をついた。


この紙のおかげで既に机は見えないくらいになっている。
その全てがの溜息の原因を作っている奴からの
暑中見舞い状だった。


夏休みに入ってから毎日届いている葉書。
しかもどれも同じ様な内容。
朝早くからフクロウ便に悩まされている
こっちの身にもなってほしいものだ。



〜!」



軽い溜息をつき紙の束に暑中見舞い状を戻すと同時に、
母親が呼ぶのが聞こえたのではリビングへ向かった。


「何?お母さん」


リビングに入ったは母親が何かを持って
ニヤニヤしているのを見た。


「今届いたわよ〜v」



「げっ・・・」



母親が持っていたのはまぎれもなくアイツからの葉書。


「熱心ね〜彼も」


ニヤニヤ笑いながら母親がに葉書を渡した。
お熱いことでvなんて言葉を添えながら。


「もう!お母さん!」


「はいはい。ちゃんと返事書いてあげるのよ」


怒るをスルーして、
母親はスッキップしながらリビングを出て行った。




(まったく・・・送り主も送り主だけど、親も親よね)




内心溜息をついて届いた葉書を読んだ。






世界で、いや宇宙で、寧ろ僕の中で一番愛しているへ 






「こんなに長い宛名だったら書くな!」



宛名を見ただけでげんなりしたが、は先を読むことにした。




  世界で、いや宇宙で、寧ろ僕の中で一番愛している

僕の愛の沢山こもった暑中見舞いちゃんと読んでる?
長い夏休みの間離れ離れで本当に寂しいよ。
まるでロミオとジュリエットみたいだね!
1分でも1秒でも君に触れていない時間が惜しいんだ。
今すぐにでも君に逢いに飛んで行きたいよ!
・・・そうだ!逢えないなら逢いに行けば良いじゃないか!
あぁ〜君への愛が大きすぎて大事なことを見逃していたよ!
膳は急げ・・・ってことだから今から逢いに行くね!
これ読む頃には着くと思うから。沢山の愛を持ってね☆

君のことしか考えられないジェームズへ






「何よこれ〜!!!!!」





読み終わったの叫び声と暖炉の爆発音が部屋に響いたのはほぼ同時だった。








END















◆後書き◆
彼にラブレターを書かせたら天下一品なんだろうな(笑)










戻る