ハリーが箒から落ちた。
その瞬間、目の前が真っ暗になるかと思った。
〜恐怖の敗北〜
グリフィンドール対ハッフルパフのクィディッチの試合当日。
嵐のような天候だったが、試合は行われた。
グリフィンドール選手たちは皆、びしょ濡れになりながらもリードを保っていた。
しかし、それも途中まで。
突然競技場全体に音が無くなった。
するとグラウンドで黒い何かがうごめき、冷たい嫌な空気が流れた。
「ディメンター!?」
少なくとも百人のディメンターがグラウンドに立っていた。
は血の気が引いたように顔を青くし、急いでグランドに飛び降りた。
「!?」
隣に居たロンとハーマイオニーが叫んだが、の耳には届かなかった。
はグランドに足が着くや否や、ディメンター達に杖を向けた。
「エクスペクト・パトローナム!」
するとの杖から銀色の光が飛び出した。
動物の様な形をしていたが、あまりの速さに誰も分かることはなかった。
(数が多すぎる・・・)
わらわらと沸いてくるディメンターに流石のも焦っていた。
するとの視界の端に何かが落ちてくるのが見えた。
「ハリー!!!」
それがハリーだと分かるとは思わず叫んだ。
しかし地面近くになった瞬間落下速度が落ちた。
それと同時にの近くで別の声がした。
「エクスペクト・パトーロナム!」
するとグランド全体を銀色の光が包み、ディメンターはすぐに競技場を出て行った。
が声の方を振り向くと、そこにいたのはダンブルドアだった。
「なんたることだ!」
が見たダンブルドアは、本気で怒っているようだった。
こんなに怒っているダンブルドアは今までに見たことがなかった。
「校長・・・先生」
「おぉ、、無事じゃったか。すまんのう」
「私は大丈夫ですけど・・・ハリーは?」
「これから医務室に連れて行かなければ」
ふと横を見ると、担架に乗せられたハリーがいた。
(大丈夫かしら・・・)
メガネが割れてないところを見ると、それほど酷い怪我はしてなさそうだ。
「すまんが、マクゴナガル先生にこの事を伝えてきてくれないかの?」
「え?あっ、はい」
ハリーの容体を見ていたは、ダンブルドアに目を戻し、
急いでマクゴナガル先生がいる教員席に向かった。
それからいろいろあって、結局がハリーのお見舞いに
行けたのは夜になってからだった。
マダム・ポンフリーに特別許可をもらって、
はハリーのいるベッドのカーテンを引いた。
疲労と怪我のせいなのか、既にハリーは眠りについていた。
(良かった・・・)
はほっとすると、足元のバッグに目をやった。
一旦寮に戻った時に、ハリーのお見舞いと、試合に敗北したこと、
このバッグに入っているニンバス2000の残骸の事を聞いたのだ。
「ハリーのパートナーだったのにね」
は居た堪れない気持ちになりながら、ハリーが眠るベッドの横に座った。
暫くの間、はハリーの顔をじっと見つめていた。
「本当っ・・・ジェームズそっくり・・・」
は誰に言うのでもなく、小さく小さく呟いた。
「ディメンターが居る時・・・ハリーもきっと私と同じなんだよね・・・」
くしゃくしゃなハリーの髪をそっと撫でた。
「ごめんね・・・全部私のせいだよね・・・つらい思いをさせてごめんね・・・」
少し眉を寄せて眠るハリー。
は少し悲しそうな顔をして、最後にハリーの手を握ってから
そっとその場を離れた。
バタンッとが医務室を出る音が聞こえると、ハリーはそっと目を開けた。
が髪を撫でていたあたりから起きてしまっていたのだ。
「今の・・・だったんだよね・・・」
そう言うと、ハリーはが撫でていた自分の髪を触った。
「どういうことだろう?」
自分の中で謎が深まっていくという少女。
静かな医務室に、ハリーの呟きだけが響いた。
つづく
◆アトガキ◆
どうしよう・・・。
ハリーの中で謎が深まっちゃ困るんですけど(涙)
戻る