〜放課後バレンタイン〜





今日は2月14日のバレンタインデー。
男子はそわそわし、女子にとっては一大イベントである。
それは、このホグワーツ学園でもそうである。


「きゃーブラック先生!チョコ受け取ってください!」


「ちょっと私が先よ!」


「ブラック先生にチョコをあげるのは私!」


休み時間に入るなり、女子が騒がしくなった。
ホグワーツ学園で1・2を争う人気教師、シリウス・ブラックに
チョコを渡そうと必死になっているのだ。


そんな光景を見ては人知れず溜息をつく。


「モテモテね、の旦那様は」


騒がしい女子達をよそに、
に声を掛けたのは親友のハーマイオニー。


「ハーマイオニー・・・」


は旦那発言に突っ込みを入れたかったが
口ではハーマイオニーの方が上手だ。
からかわれるのがオチだろうとは諦めた。


は渡さないの?」


2人の会話を聞いて分かるように、教室の前で
女子達に囲まれている教師は、と恋人関係にある。
それを知っているのがハーマイオニーだけなのは
教師と生徒という立場上、表立って公表するわけにはいかないのだ。


「知らないわよ、あんな浮気教師」


そう言って女子に囲まれているシリウスを睨むと
ふと目が会ってしまった。



チョコは?



意地悪そうな笑みを浮かべている。



(周りにいるのに、まだ足りないのかしら)



はカチンときて、プイと顔を逸らした。
隣にいたハーマイオニーは苦笑しながらその様子を見ていた。










(私だって頑張って作ったのにな・・・)



最悪なことに今の時間はシリウスの授業。
は彼を見ないように、窓の外を見ていた。



(モテるのは知ってたのに・・・)



昨日、一生懸命作ったチョコは鞄の中。
の心にはちょっぴりの嫉妬。



(ハーマイオニーにあげっちゃおうかな)



ふと時計を見ると、もうチャイムが鳴る時間。
シリウスがパタンと教科書を閉じた。


「今日の授業はここまで。
・・・あと、は放課後居残り補習な」


「はっ?」


「起立ー礼」


突然の補習告知には思わず抗議するが
タイミング合わなく、抗議も空しく日直の号令にかき消された。










放課後、律儀にも教室に残っている
チョコの入った鞄を横に、は黙ってグランドを見ていた。
するとガラッと音を立ててドアが開き、シリウスが入ってきた。


「よっ」


「よっ・・・じゃないわよ。何よ居残り補習って」


シリウスが教室に入るなり怒る


「チョコ」


いきなり何を言い出すのかこの男。的な目で見る
シリウスはさらに続ける。


からチョコ貰ってない」



あるんだろ?



「それが居残り補習?大体散々他の女の子達から貰ったんでしょ?」


差し伸べるシリウスの手を払いのけが顔を逸らして言う。


「貰ってねーよ」


「は?」


「可愛い彼女が嫉妬しちゃうから貰えねぇー、って断った」


ニヤリと笑いシリウスがを見る。


「なっ!べ別に嫉妬なんてしないわよ!」


は、シリウスが他の子のチョコを断ったことに
安心して顔がほんのり赤くなった。


「ほぉー。目も合わせてくれなかった奴が何を言う」


シリウスの大きな手がの頭をクシャクシャと撫でる。
髪の毛が乱れるのは嫌だが、撫でられるのは
嫌ではないは少し目を細める。


「で?チョコは?」


「何で私がシリウスの分作ってることが前提なの?」



ここまできたら意地だ。



「んじゃ、持ち物検査」


「ちょっと、職権乱用!」


頑固なにシリウスは最終手段に出た。
スッとの鞄を掴み中を探る。


「こういうのは職権乱用って言わねぇーの」


そう言って鞄の中に入っていた包みを取り出した。
上に付いたメッセージカードには「Dear.シリウス」と書かれている。


「やっぱり本命は良いよな」


「その自信はどっから出てくるのよ」


見つかったことに関しては観念したが
嬉しそうなシリウスに呆れながらため息をつく。



「んーそんだけ愛が大きいってこと」



ありがとな。
そう言って笑うシリウス。



「もう知らない!」


プイと赤くなった顔を逸らし拗ねる
シリウスにはそんなも可愛く見え
再びの頭を撫で、その唇に小さくキスを落とした。















◆後書き◆
遅いバレンタインすみません;
教師ネタやってみたかったんですよー。
ホグワーツ学園って・・・ホグワーツ学校なんだから
変えなくて良いじゃんみたいな;











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