「そう・・・ジェームズの声をね・・・」


ハリーのパトローナス呪文の特訓の様子をリーマスから
聞かされたのは、特訓の次の日だった。





〜もう暫く避難中〜





もう当たり前のように通っているリーマスの自室。
又は避難所第2弾。


「でもそんな短時間でそれだけ出来るなんて」


「あぁ、流石彼の子だ」


ハリーが前からジェームズ達が殺された日を
思い出してしまうことで悩んでいることは分かっていた。
自身あの日や嫌な過去が同じようにフラッシュバックするのだ。


「でも、いろいろ焦ったよ・・・ジェームズの話やら・・・シリウスの話題・・・」


の手がピクリと動いた。


「ごめん不謹慎だった」


「いいよ。私は彼は絶対無実だって信じているから」



それに私の恋人よ?



「でも彼はーーー」


お互いこの話題は避けていた。
リーマスだって本当は信じたいと思っているのはだって分かっている。
でも現状証拠がそう言っていないのだ。


「この話はお終い。リーマスまだ体調戻ってないんだから休んだら?」


私も戻るから。とは無理に笑って席を立つ。


・・・。分かった、気をつけて戻るんだよ」


「私は子供じゃないわよ」


少しムッとしながら手をヒラヒラさせ、部屋を出て行く
少しでも気を抜いたら思い出してしまいそうな状態を隠す彼女の見栄だと
リーマスは悲しそうな顔をして思った。






知らぬ間に1月が過ぎ、2月になった。
そんなある日の夜、は談話室の隅でハーマイオニーと宿題をしていた。
が『数占い』のレポートを終えたちょうどその時、
ハリーがファイアボルトを抱えて入ってきた。
どうやらマクゴナガル先生から返してもらえたらしい。
周りのグリフィンドール生も集まってファイアボルトを眺めていた。



(私も見たいんだけど・・・今は無理ね)



はチラリとハーマイオニーを見て再び教科書に目を戻した。


ようやく人がまばらになると、達のテーブルにハリーとロンが来た。
が、良かったね、とハリーに言うと、つられてハーマイオニーが顔を上げた。


「言っただろう?ハーマイオニー。なーんにも変なとこはなかったんだ!」


「あら、あったかもしれないじゃない!
少なくとも、安全だって事が今分かったわけでしょ!」


ロンの言葉にハーマイオニーが言い返した。



(まったく素直じゃないんだから)



「僕、寝室のほうに持っていくよ」


そうハリーが言ったが、ロンが代わりに持っていくと言って
男子寮の階段を上がっていった。


「『数占い』って大変そうだね」


の隣にハリーが座って言った。


「「あら、そんなことないわ」」


珍しくとハーマイオニーがハモる。


「少なくとも、あのギラギラトンボの『占い学』よりましだわ」


ふっと乾いた笑みでが言った。


「私の好きな科目なの。だってーーー」


ちょうどその時、押し殺したような叫び声が男子寮の階段を伝わって響いてきた。
談話室がいっせいにシーンとなった。
やがて慌しい足音と共にロンが飛び込んできた。
手にはベッドのシーツを引きずっている。


「見ろよ!」


ロンは達のいるテーブルに荒々しく近づき、大声を出した。


「ロン、どうしたの?」


「スキャバーズが!見ろ!スキャバーズが!」


はロンが掴んでいるシーツを見下ろした。
何か赤いものが付いている。それはまるでーーー


「血だ!」


呆然として言葉もない部屋に、ロンの叫び声だけが響いた。


「スキャバーズがいなくなった!それで、床に何があったかわかるか?」


「い、いいえ」


ハーマイオニーの声は震えていた。
ロンがハーマイオニーの翻訳文の上に何かを投げつけた。
それを達が覗き込んだ。



落ちていたのは、数本の長いオレンジ色の猫の毛だった。













つづく

















◆後書き◆
タイトルが決め辛い・・・。










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