ロンとハーマイオニーの友情もこれまでかと思われた。
互いに相手に対してカンカンだったので、
もう仲直りの見込みがないのではないかとは思った。
それはハリーも思っていることらしく、とハリーは
互いの顔を見合わせため息をついた。


ハーマイオニー自身、沢山の授業をこなしているうえに、
ロンとの喧嘩もあってヒステリー気味だった。
今のハーマイオニーに近寄るのが怖いは、再び避難所通いになるのだった。





〜真夜中の大騒動〜





グリフィンドール対レイブンクローのクィディッチの試合を控えた前日。
ハリーとロンはクィディッチの練習に、ハーマイオニーは姿が見えなかったので
は今日もリーマスの自室にいた。


「君も大変だね」


苦笑しながらリーマスが言った。


「人事だと思って〜。はぁ・・・早く仲直りしないかね」


仲良しが一番!とが紅茶を啜る。


「そういえば試合は明日だったね」


「えぇ、見に行くでしょ?」


「もちろん」






避難所を後にしたは、帰り道でレイブンクローで
仲の良いチョウ・チャンに会った。


「チョウ!怪我はもう良いようね」


「えぇ、おかげ様で」


彼女はクィディッチのシーカーをやっており、
少し前に怪我をしてしまったのでも心配していたのだ。


「明日の試合頑張ってね!」


「あら、レイブンクローを応援してくれるの?」


「もちろんグリフィンドールを応援するわよ。でもチョウも応援するの」


ったら矛盾してる」


クスクスと笑いあうとチョウ。
2人は暫くの間、廊下で話を咲かせていた。






翌日に行われたクィディッチの試合は、見事にグリフィンドールの勝利。
マルフォイ達が偽ディメンター騒動を起こしたが、
こちらも見事にマクゴナガル先生の雷が落ちた。


試合後のグリフィンドールの談話室はお祭り騒ぎだった。
フレッドとジョージが率先して食べ物やら何やらを集めてきて
パーティーは夜まで続いた。


パーティーの途中、とハリーは
ロンとハーマイオニーを仲直りさせようと試みた。


「スキャバーズが食われちゃっていなければなぁ。
好物のハエ型ヌガーがもらえたのに」


ロンの言葉にハーマイオニーはワッと泣き出し女子寮へ戻ってしまった。


「もう許してあげたら?」


ハリーはロンに言った。は横で溜息をついた。
結果はまたしても失敗。
ロンも相当の意地っ張りだった。






グリフィンドールのパーティーが終わったのは、午前1時。
マクゴナガル先生が部屋着で現れ、もう全員寝なさいと命令した時だった。


「おやすみー」


同室の子に挨拶した後、ベッドに入った
疲れていたのかすぐに眠りに着いた。
はずだった。



「ああああああアアアアアアっっっっ!やめてええええぇぇぇぇぇ!」



女子寮までにも届くほどの叫び声が寮中に響いた。
その声を聞いたはバッと飛び起きた。


「何?今の悲鳴」


隣のハーマイオニーも起きて怪訝そうな顔をしている。
静まり返った外からドタバタと談話室に下りる足音が聞こえた。


「行ってみましょ」


はハーマイオニーと共にガウンを着て談話室に下りていった。






「悪い夢なんかじゃない!」


とハーマイオニーが談話室に入ると、ロンが叫んでいた。
マクゴナガル先生も何事かと戻ってきていた。
どうやら先ほどの悲鳴はロンだったらしい。
何があったのかと心配していると、ロンの次の言葉では目を見開いた。


「先生、僕、目が覚めたら、シリウス・ブラックが
ナイフを持って僕の上に立ってたんです!」



(は?シリウスがロンを襲った?!)



衝撃的な言葉に思わず固まる



(ちょっと待って、その前にどうやって此処に?)



その疑問はマクゴナガル先生が代弁した。


「ウィーズリー、冗談はおよしなさい。
肖像画の穴をどうやって通過できたというんです?」


「あの人に聞いてください!」


ロンはカドガン卿の絵の裏側を震える指で指した。
マクゴナガル先生はロンを疑わしそうな目で睨みながら
肖像画を裏から押して、外に出て行った。
談話室にいた全員が、息を殺して耳をそばたてた。


「カドガン卿、いましがた、グリフィンドール塔に男を1人通しましたか?」


「通しましたぞ。ご婦人!」


カドガン卿から出た言葉は衝撃的な言葉だった。
談話室の外と中とが、同時に愕然として沈黙した。


「と・・・通した?あ・・・合言葉は!」


マクゴナガル先生の震えた声に対して、
カドガン卿は誇らしげに答えた。


「持っておりましたぞ!1週間分全部持っておりました。
小さな紙切れを読み上げておりました!」


マクゴナガル先生は肖像画の穴から戻り、みんなの前に立った。
驚いて声もないみんなの前で、先生は血の気の引いた蝋のような顔だった。


「誰ですか」


マクゴナガル先生の声はまた震えている。
もこんなマクゴナガル先生を見たのは初めてだ。


「今週の合言葉を書き出して、その辺に放っておいた、
底抜けの愚か者は誰です?」



咳払い一つない静けさを破ったのは、「ヒッ」という小さな悲鳴だった。
ガタガタを震えたネビルが、ソロソロと手を挙げた。













つづく

















◆後書き◆
やっと侵入してくれたよ。。。










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