「ちょっとセブ!何のようなのさ!・・・って居ないし!」
せっかくの買い物を邪魔されて少し怒りながらセブルスの研究室に来た。
しかし部屋の主は不在だった。
〜恨みつらみに〜
は仕方なく部屋の外で待っていると、暫くしてセブルスは来た。
後ろに彼を引き連れて。
「ちょっと呼び出しておいて何でいないのよ!・・・ってハリー!?」
「・・・」
驚いたに対してハリーの顔色は良くない。
そんなハリーを見ては何かやらかしたのだとピンときた。
(忠告したのに・・・問題起こしてくれちゃって)
セブルスに入れと言われ仕方なくハリーと一緒に研究室に入る。
目の前の問題児とこれからネチネチ嫌味を言われる光景を想像し
人知れず溜息が出てしまう。
「座りたまえ」
ハリーは腰掛けたが、セブルスは立ったままだった。
は近くの壁に寄りかかった。
「ポッター、マルフォイ君がたった今、我輩に奇妙な話をしてくれた」
(しかもドラコ絡みだよ)
が厄介そうな顔をする。
ハリーは黙っている。
「その話によれば、叫びの屋敷まで登っていったところ、
ウィーズリーに出会ったそうだ。1人でいたらしい」
セブルスが言うことを解釈すると、ドラコが叫びの屋敷前でロンに会ったのだが
透明マントで隠れたハリーが悪戯して、悪戯のはずみで最悪なことに
ハリーの生首が見られてしまった・・・。そんなところだ。
セブルスはさらに続ける。
「君の首がホグズミードにあったなら、体のほかの部分もあったのだ」
「僕、ずっとグリフィンドール塔にいました。先生に言われた通りー」
「誰か証人がいるのか?」
セブルスはハリーにずいと寄る。
(完璧苛めね。忠告した手前手助けするのもな・・・;私もアリバイあるし)
「手助けしたのは君だろう」
ハリーを見ていたセブルスが突然視線をに移す。
(今度は私が標的かっ!?)
「何でそうなるのっ!大体、私は買い物をしてました」
「どうかな?貴様となればいくらでも方法はあるだろう?」
(ハリーが居る前で地出したくないのにっ)
薄気味悪い笑みを浮かべるセブルス。
ハリーがチラリとを見た。
そしてセブルスは再びハリーに視線を戻した。
「誰もかれもが、有名人のハリー・ポッターをシリウス・ブラックから
守ろうとしてきた。しかるに、有名なハリー・ポッターは自分自身が
法律だとお考えのようだ。好きなところへ出かけて、
その結果どうなるかなぞ、おかまいなしというわけだ」
ハリーは挑発に乗るまいと黙っている。
「ポッター、なんと君の父親に恐ろしくそっくりなことよ」
「黙れ!」
「我輩に向かって、なんと言ったかね。ポッター?」
「黙れって言ったんだ、父さんのことで」
ハリーが叫んだ。
さらに、ジェームズに助けられたことを言うと
セブルスの土気色の顔がさらに酷い顔になった。
「君が間違った父親像を抱いたままこの場を立ち去ると思うと、
ポッター、虫唾が走る。我輩が許さん」
そう言ってセブルスは顔を歪め、恐ろしい笑みを浮かべた。
「輝かしい英雄的行為でも想像していたのかね?
なればご訂正申し上げようー君の聖人君子の父上は、
友人と一緒に我輩に大いに楽しい悪戯を仕掛けてくださった。
それが我輩を死に至らしめるようなものだったが、君の父親が土壇場で
弱気になった。君の父親の行為のどこが勇敢なものか。
我輩の命を救うと同時に、自分の命運も救ったわけだ。
あの悪戯が成功していたら、あいつはホグワーツを追放されていたはずだ。
なんだったらそこにいる奴に聞いてーーー」
「いい加減にしなさい」
セブルスの言葉を恐ろしく静かな声が遮る。
「・・・?」
いつもより低く怒りが込められているその声に、
ハリーが吃驚したように声をかける。
「ハリーもちょっと黙ってなさい」
ピシャリと言うは、もう地を出そうがお構いなしだ。
ここまで言われたら我慢ならない。そんな状態だ。
「私に今までの恨みを言うために此処に呼び出したわけ?
はっ、お門違いもいいところだわ。
第一、私がハリーにとって危険なことを手助けするわけないでしょ?
それに何かあっても助けないってこの前釘さしたばかりなんだから」
真っ直ぐセブルスを見て冷たく言い放つ。
ハリーも普段のではない様を見て戸惑っている。
「っ・・・!ポッター、ポケットをひっくり返したまえ!」
言葉に詰まったセブルスは、突然吐き棄てるように言った。
標的を変えられたハリーは動かない。
「ポッター、ポケットを裏返すんだ!」
ハリーはのろのろとゾンコの悪戯グッズの袋と忍びの地図を引っ張り出した。
はハリーの出した忍びの地図に目をやる。
「ロンがこの前ホグズミードから持ってきてくれました」
「ずっと持ち歩いていたというわけだ。
なんとも泣かせてくれますな・・・ところでこっちは?」
セブルスが地図を取り上げる。
「余った羊皮紙の切れ端です」
ハリーはなんでもないという風に肩をすくめた。
「こんな古ぼけた切れ端。当然君には必要ないだろう?
我輩が捨ててもかまわんな?」
「やめて!」
セブルスの手が暖炉の方へ動くと、ハリーは慌てた。
「ほう!これもまたウィーズリー君からの大切な贈り物ですかな?
それともそこにいる彼女からの物ですかな?
もしや、手紙かね?透明インクで書かれたとか?それともー
ディメンターのそばを通らずにホグズミードに行く案内書か?」
(流石良い勘してるわね。でも・・・)
ハリーが瞬きをするのが分かった。
それを見たセブルスの目が輝いた。
「なるほど、なるほど・・・」
ブツブツ言いながらセブルスは杖を取り出した。
ハリーが助けてくれと言わんばかりにを見る。
しかしは、セブルスが地図に杖をかざすのを見てニヤリと笑った。
これから起こることに果たして自分は笑わないでいられるだろうか?
そんな心配をしていた。
つづく
◆後書き◆
何故かセブ絡みだと気合が入る(ヲイ)
戻る