「ハーマイオニー、教室に誰がいるのか、チェックしてくれないか」





〜宿題免除〜





ハリーが退院した月曜日。スリザリン生と早速いざこざがあり、
腹を立てているロンが闇の魔術に対する防衛術の教室の前で言った。
中を覗いたハーマイオニーは教室の中にルーピン先生を確認すると、
「大丈夫よ」と言って教室に入っていった。

ハーマイオニーに続いて教室に入った達は、
本当に病気のように見えるルーピン先生を見た。
授業が始ると、皆一斉に臨時で授業をしたスネイプの不平不満をぶちまけた。


「僕たち、狼人間についてなんにも知らないのに」


「君たち、スネイプ先生に、まだそこは習っていないって、そう言わなかったのかい?」


リーマスは少し顔をしかめて皆に聞いた。
そして、君も居たのに?とリーマスはに視線を送った。
これにはは肩を竦めるしかなかった。
何せ授業の途中で出てしまったのだから。


「言いました。でもスネイプ先生は耳をかさないんです」


「羊皮紙二巻なんです!」


全員がプリプリ怒っているのを見ながら、リーマスはニッコリした。


「よろしい。わたしからスネイプ先生にお話ししておこう。
レポートは書かなくてよろしい」


「そんなぁ」


の隣でハーマイオニーはがっかりした顔をした。
既に終わらせていたらしい。そんなハーマイオニーには苦笑した。






授業終了のベルが鳴り、みんな荷物をまとめて出口に向かう中、
ハリーとはリーマスに呼び止められた。


、片づけを手伝ってくれるかい?ハリー、君には話しがあるんだ」


「了解」


突然の要求にさほど気にせず、はピンキーパンクの箱を片付け始めた。
耳はしっかり、ハリーとリーマスの会話に傾いている。


「試合のことを聞いたよ」


リーマスも机に戻り、本を鞄に詰め込み始めた。


「先生はディメンターのこともお聞きになりましたか?」


ハリーは言いにくそうに、それだけ言った。
もリーマスも手を止め、チラッとハリーを見た。


「あぁ、聞いたよ。ディメンター達は近頃日増しに落ち着かなくなっていたんだ・・・
多分君は連中が原因で落ちたんだろうね」


「いったいどうして?どうしてディメンターは僕だけにあんなふうに?」




「弱いかどうかとはまったく関係ない」




リーマスがビシッと言った。
ハリーには自分の心が見透かされたように聞こえたらしいが
その言葉はの心にも響いた。


「ディメンターが他の誰よりも君に影響するのは、君の過去に、
誰も経験したことがない恐怖があるからだ」


は片付けていた手を止め、リーマスの話を黙って聞いた。


「ーーー君のような目に遭えば、どんな人間だって箒から落ちても不思議はない。
君はけっして恥に思う必要はない」


「あいつらがそばに来るとーーー」


ハリーが静かに言った。


「ヴォルデモートが僕の母さんを殺した時の声が聞こえるんです」


その言葉にの肩がピクリと動いた。



(ハリー・・・やっぱり・・・)



ふと沈黙が漂った。


「先生は汽車の中であいつを追い払いました。それにも」


ハリーはくるりとの方に振り返り思い出したように言った。


「それは・・・防衛の方法がないわけではない」


「そうね、だけど高度すぎるわ」


話を振られたもリーマスに便乗する。
さらにリーマスが続けた。


「それに、汽車に乗っていたディメンターは一人だけだった。
数が多くなればなるほど抵抗するのが難しくなる」


「どんな防衛法ですか?」


「ハリー、わたしは決してディメンターと戦う専門家ではない。」


リーマスは迷った様子でを見た。



(私だって違うわよ)



目が合ったは心の中でど突いた。


「でも、ディメンターがまたクィディッチ試合に現れたら、
僕はやつらと戦うことが出来ないとーーー」


必死なハリーにとうとうリーマスは折れたのか、口を開いた。


「そうか・・・よろしい。なんとかやってみよう」














ハリーには先に寮に戻っててもらい、教室に残ったのはとリーマスのみ。


「結局・・・パトローナス呪文の練習引き受けちゃったんだね」


「君が教えてあげる方が良かった?」


「冗談。いろんなことがバレちゃうかもしれないわよ」


沈みかけた夕日を窓から眺める2人。


「でもきっと・・・ハリーは少しずつ疑い始めているよ」


彼に似て鋭いからね、とリーマスが苦笑する。


「かもね。でも、ハリーは優しいから私から話し出すまで多分聞かないわ」


オレンジ色に染まった静かな部屋に、
ハリーが口にしたシリウス・ブラックの話題があがることはなかった。









つづく

















◆後書き◆
何だろう・・・セブの次はリーマスの絡みですか・・・。
途中のセリフ・・・長くてすっ飛ばしちゃったよ;(ヲイ)











戻る