〜海辺のドライブ〜






ブロロロッブロロロロロロー



静かな住宅街にけたたましい騒音が響いた。


原因は自分の家の前から聴こえていた。
はその騒音の原因を確かめるべく部屋の窓を開けた。
幸いご近所迷惑にはなっていないようだ。
しかしそこには見慣れた人物が居た。


「シリウスっ!?」


「よっ」


ホグワーツの学生でありの恋人でもあるシリウス・ブラックだった。
しかし夏休み中である今、何故自分家の前に、しかもバイクに乗っているのが
は不思議でたまらなかった。


「今暇か?」


「えっ、あっ、うん」


「なら、今からドライブしねーか?」


此れで、と乗っているバイクをコツコツ叩きながら
シリウスはニヤリと笑った。


(まっ、たまにはドライブも良いか)


惚れた女の性なのか、先ほどのシリウスの笑顔に
すっかり気を許しただった。


「安全運転でお願いね」


「へいへい」


今そっちに行く、と言い残しは窓を閉め軽く支度をし家を出た。





「バイク乗るのにスカートかよ」


「しょうがないじゃない」


玄関を出て最初に言われたのがこの言葉。
は少しふて腐れながら、
シリウスが放ったヘルメットを受け取り
バイクに乗っているシリウスの後ろに座った。


「まっ似合ってるから良いけど」


先ほどと同じけたたましい音でエンジンを掛けながら
ボソッと言った言葉はしっかりに届いていた。


そして、2人のほんのり赤くなった顔を隠すように
バイクは夏の道を走り出した。





風を受けながら2人を乗せたバイクが向かった先は静かな海辺だった。

バイクを止め、シリウスとは砂浜に降り立った。


「覚えてたんだ」


「まぁな」


傾きかける太陽が静かな水面を照らし出している。
静かに聴こえるさざ波の音の中、はシリウスに言った。
シリウスは照れくさそうに返す。





夏休みに入る前、
リゾート地のパンフレットを見ながら
何気なくリリーとした会話。


「夏の静かな海って憧れるよね」


「よね〜。爽やかな風、誰も居ない砂浜、沈みかける太陽、そして隣には恋人」


「「憧れのシチュエーションよね〜」」


「何の話をしているんだい?」


女2人でキャーと話をしていると、ジェームズとシリウスとリーマスが来た。


「夏に恋人と誰も居ない海で過す時間はロマンティックだって話」


「そうかリリー!君はそういうのが好きなんだね!早速夏休み行こうじゃないか!」


「あら嬉しい」


ジェームズがハートを飛ばしながらリリーと早速夏休みの計画を立てる。


「確かにデートには良いね」


そんなバカップルを放っておき、
にこやかな笑みでリーマスが同意する。


「ふーん」


は恋人のシリウスをチラ見するが別段と変わりようはなかった。


(そういう派じゃないのかな・・・)


シリウスの素っ気ない態度には内心溜息を付いていた。





「興味ないかと思ってた」


「俺がいつ興味ないって言ったんだよ」


「だってあの話してた時、ジェームズみたいに言ってこなかったじゃない」


「あのバカップルと一緒にするなよ」


シリウスが呆れながら言った。


「お前を驚かせたかっただけだ」


少し間を置き、照れながらシリウスは言った。


照れてそっぽを向いているシリウスを可愛く思いながらも
愛されてるなーと感じは感謝の言葉を言った。




「ありがとう」




はシリウスの手を握り笑顔で言った。



「また来年来ようね」



「来年まで待てねぇーな」



クスクスと笑うシリウスと
沈む夕日に見送られながら海辺を後にした。









END









◆後書き◆
わん子と言ったらバイクでしょう。
バイクと言ったら海辺でしょう。
海辺と言ったら夕日でしょう。
・・・一度でいいから味わいたいシチュエーション(笑)











戻る