もっと早く気づくべきだった・・・・・・
もっと早く言ってあげるべきだった・・・・・・
〜すれちがい〜
寮に戻るなり、は自分の部屋に閉じこもっていた。
先に寮に戻っていたジェームズ達は、先ほどのことに顔を見合わせていた。
ー話はがシリウスをぶってきてから30分前にさかのぼるー
談話室に入ってきたは泣いていた。
何事かとジェームズが聞いても、は答えず部屋に戻ってしまった。
心配したリリーは、に事情を聞きに行った。
「・・・入るわよ?」
軽くノックし、部屋に入るリリー。
「どうしたの?・・・らしくもないわよ・・・」
ベットにうずくまっているの横に、リリーは静かに座った。
「私ね・・・・・・」
突然が口を開いた。
目が赤いが、涙は止まっている。
「・・・シリウスの頬を引っ叩いちゃった・・・」
「シリウスを?どうして?」
リリーは驚いて聞いた。
がシリウスのことを好きなのは知っていたから。
「・・・3日前・・・図書室で勉強してたでしょ?」
は、3日前のことを話した。
その間、リリーは真剣に聞いてくれた。
「私嫌な女よね・・・一方的に好きで・・・勝手に嫉妬しちゃって・・・」
は右の手のひらを見る。
シリウスの引っ叩いて残ったものは、痛みと罪悪感だけ。
(・・・・・・本当は・・・・・・)
リリーは知っていた・・・シリウスの本当の気持ちも。
でも、自分が今言ってしまったら、何も解決にならない。
「ごめんね・・・リリー・・・」
「ううん・・・。今は心を落ち着かせて」
そう優しく言って、リリーは部屋を出て行った。
そして、今に戻る。
リリーから全てを聞いたジェームズ、リーマス、ピーターは
しばらくの間、顔を見合わせたままだった。
「だから様子が変だったんだ・・・」
リーマスが呟いた。
しばらくの沈黙。
バタンッ
沈黙を破ったのは、談話室に入ってきたシリウスだった。
「シリウス!どうしてくれたのよ!」
シリウスの顔を見るや否や、リリーが突っかかってきた。
最初は驚いたが、皆の様子がおかしかったので、シリウスもすぐに察した。
「お前ら・・・に何か聞いたのか?」
「今しがた、リリーが聞いてきてくれたよ・・・」
そう言って、ジェームズが簡単に説明し始めた。
「おい、まて・・・それ誤解してるぜ?」
一通り話を聞いたシリウスは、真っ先に否定した。
「誤解してるって?」
リーマスが聞き返した。
「とにかく、俺は誤解を解いてくるっ!」
そう言い残し、シリウスは女子寮へと向かった。
「僕達も・・・透明マントを着て見守ろう!」
ジェームズの発言に、リーマス達も頷いた。
こんな自分が嫌になる・・・・
ベットの上で、は思った。
別に付き合ってたわけじゃないのに・・・
だから、私がシリウスを好きでも、先輩に取られてしまうのも仕方がなかった・・・
だけど・・・何故か嫉妬心が私の中にあった・・・
だから・・・あの時・・・シリウスの頬を引っ叩いてしまった・・・
あんなに・・・ほいほいとキスしてくるシリウスを・・・
「・・・」
また涙が出そうになった時、今は聴きたくない声がした。
は・・・黙っていた。
「悪い・・・って言って、言い訳に聞こえるかもしれないが・・・」
「何も聞きたくないわよ!」
ドアを挟んで立っているシリウスに向かって言った。
「聞きたくなければ・・・それで構わない・・・。だけど誤解してる・・・」
「3日前・・・先輩に呼び出されて・・・告白されたんだ・・・」
やっぱり・・・・・・・・・それでOKしたんだ・・・・・・・・・
「だけど、断った。きっぱりとな」
うそ・・・・・・?じゃぁ・・・・どうして・・・・
「そしたら・・・先輩も諦めてくれた。
・・・だけど、最後にキスしてくれって言われたんだ・・・」
だからしたの・・・・・・・?
「もちろん断ったけど・・・そしたら先輩が無理やりな・・・」
本当なの・・・?自分の意思じゃないの・・・?
「嘘でしょ?」
部屋の中からが聞いた。
自然と足がドアの方に動く。
「本当だ。だから、は誤解してる・・・」
「それに・・・俺には・・・」
「好きな奴がいる」
の足がドアのすぐ手前で止まった。
誰・・・?
「・・・・・・・・・」
数秒の間。
には何時間も過ぎたように感じた。
「俺の目の前にいる・・・だ」
「!!!」
うそ・・・でしょ・・・?
シリウスが・・・私を・・・?
「俺は、世界中の誰よりもを愛している」
その言葉と同時に、2人の間にあった、すれちがいの壁はなくなった。
「バカ・・・・・・・・」
ガチャリと音がして、が部屋から出てきた。
頬に涙を流しながら。
「待たせて・・・悪かった・・・」
そう言って、を優しく抱きしめた。
一番聴きたかった言葉・・・
本人の口からじゃないと・・・信じることができなかった
ほんの些細なことでも・・・
すれちがいは・・・起こるもの
だけど・・・
すれちがってこそ・・・得られるものも・・・
あると思う
「良かったわ〜」
透明マントでこっそり見ていたジェームズ達。
リリーは思わずもらい泣きしたらしい。
「僕達も、愛を深め合っていこうね」
「もちろんよ」
どこまでもお熱い2人。
「ねぇ、ピーター・・・熱くなってきたから・・・このマントから出ようか」
リーマスとピーターは、ただただ呆れていた。
END
◆あとがき◆
はい・・・感動できる話をと・・・考えたつもりですが;
いつものことですが・・・すみません;
読者様を泣かせる話を書けたら良いんですがね。。。
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