〜浴衣と照れ隠し〜
夏休みのある日。
リーマスはの家に滞在していた。
とリーマスは両親も認める公認カップル。
の両親が是非とも家に来て!と言って聞かなかったそうな。
実際、リーマスがこの家に来てからのもてなしは凄かったし
食べ物の好き嫌いや学校では監督生をやっていることや、
父親からは、が嫁になったら是非とも飲もう!と言ってくれたり、
母親からは娘とは何処までのいったの(マテ)!と言う質問攻めまでされた。
流石にこの時はが真っ赤になって止めたけど。
でもそんなことでも、この家はリーマスにとっては楽しい空間だった。
「リーマス!リーマス!リーマス!」
「・・・1回呼べば分かるよ」
お爺さんじゃないから、と苦笑しながら
駆け寄ってきたに言った。
「あっ、ごめん」
あはは、とは笑った。
「で何?」
「あのね!夏祭り行かない?」
間髪入れずに返ってきた答えは
近所で行う夏祭りのお誘いだった。
「夏祭り?そう言えば日本の夏祭りはまだ行ったことないね」
「ちょうど良いじゃない!ねっ、行こう?」
そう言ってズイと渡された夏祭りのチラシを
見てリーマスは笑って言った。
「分かった」
「ついでに言うと、リーマスも浴衣着てもらうからね」
「、もしかして・・・目当ては此れ?」
先ほど渡されたチラシをよく見ると下の小さな欄に
『浴衣を着たカップルには花火セットをプレゼント』
と書かれている。
「どうせ買うより無料で貰った方が良いでしょ」
出店が本命だけどね、とウインクしながら言う。
こういうところも可愛いと思ってしまうのは男の性なのだろうか。
「良いけど、でも僕その浴衣って言うやつの着方知らないんだけど」
心配するリーマスを他所には大丈夫だと言った。
「もう頼んであるから」
プロフェッショナルにね、と笑うに
ちょうど良く部屋のドアが開く。
「ー、準備出来たぞ」
顔を出したのはのお父さんだった。
「じゃぁ後宜しくね」
「了解。も卒倒するような色男にしてあげるよ」
「もう!お父さん!」
顔を赤くして怒るを他所に
今のままでも十分卒倒するか、と笑いながら
状況を飲み込めないリーマスを引っぱって出て行った。
「それじゃ、もリーマスが卒倒するような女にしてあげなきゃね」
「・・・お母さん、いつの間に」
ドアに寄りかかりながら浴衣を持ったのお母さんが言った。
親も親だな、とは心の中で呆れた。
1時間後。
「きゃー、お似合いよ!」
「お父さんは嬉しいぞ!」
感激する2人の両親の前には
浴衣に着替えさせられたとリーマス。
親の叫びに、お互い照れながら出掛ける準備をした。
「じゃ行ってきます」
「気をつけてね」
「はーい」
お土産はさくら棒ねー、なんてのん気なことを言っている
両親に見送られ、とリーマスは履き慣れない下駄で
夏祭りへの道を歩き出した。
祭りのやっている神社の鳥居まで暫く沈黙が続いた。
カラコロと小気味の良い音が響く。
「「似合うよ」」
祭囃子が聴こえてくる所まで来ると
唐突に2人の声が重なった。
「ぷっ」
「あははは」
それが面白かったのか2人して笑った。
「リーマスって浴衣も似合うね」
「こそ可愛いよ」
先ほどまで笑っていたリーマスに真顔で言われ
は少し頬を赤くした。
「あっ、あそこで花火配布してるよ」
行こう?と照れたのを隠しながら
配布場所までリーマスを引っぱっていった。
リーマスは言うと、照れているのか少し赤いを見て
クスクス笑いながら、について行った。
「あとで家でやろっか」
「そうだね」
貰った花火セットを見ながらが言った。
そんな嬉しそうなの横顔をリーマスはじっと見ていた。
「僕って幸せ者だな」
「ん?何か言った?」
ボソリと呟いた言葉は、幸いの耳には届いていなかったみたいだ。
「何でもないよ。それよりお店回らないの?」
リーマスは出店を指差した。
「あっ、そうだね!お母さん達にさくら棒も買わなきゃ」
「僕金魚すくいって言うのやってみたいな」
「リーマス結構知ってるじゃん」
は少し驚いた顔をした。
「前にジェームズが悪戯の資料に持ってきた本の中にあったんだ」
「それ・・・どんな本よ」
小さく呟き、呆れながら出店が続く道を歩き始めた。
「あっ、」
「ん?」
呼ばれて目の前に差し出されたのはリーマスの暖かい手。
「はぐれちゃうと困るでしょ?」
優しく笑うリーマスに、は少し照れながら
小さくありがとう、と言って手をとった。
2人が人々が賑わう出店の通りを目移りしながら
歩いていると、リーマスが唐突に切り出した。
「ねぇ、家に帰ったら・・・何だっけ・・・」
「家に帰ったら何?」
「あぁそうだ、良いではないか、良いではないか、あ〜れ〜♪ってやらない?」
「なっ!?そんなこと何処で覚えたの!?」
リーマスの突然の爆弾発言には開いた口が塞がらない勢いだった。
「のお父さんがさっき言ってた」
リーマスはその意味を知りながら言ったのか知らずに言ったのか。
変なことを吹き込んだ父親に対しては沸々と怒りが湧いてきた。
「あんの〜〜親父〜〜!!!!」
クシュンッ
幸いの叫びは祭囃子にかき消された。
しかし、のお父さんにはちゃんと届いていたようだった。
END
◆後書き◆
変なオチでスミマセンがな。。。
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