☆一部:お題提供は「Lacrima」様より☆





「えっ!?姉さんが入院した!?」


朝、母さんから聞かされたニュース。
俺の姉さんが怪我して入院したらしい。


「そうなのよー。だからツっ君お見舞いに行ってきてちょうだい」


母さんに言われなくても行くつもりだった。
俺は急いで支度して、彼女の入院している並盛病院へ向かった。




「姉さん、入るよ?」


「あっ、綱吉。見舞いに来てくれたの?」


病室にいた姉さんは想像していたよりも普通に元気だった。
違うのは腕に巻かれた包帯があることだけ。


「さっき母さんに聞いてビックリしたよ」


「あはは、腕を軽く掠っただけだから大丈夫だよ」


「っていうか、そもそも何で事故ったの?」


母さんからも肝心の怪我の原因は聞いていなかった。
俺の質問に姉さんは一息置いて告げた。


「なんというか・・・」




右見て、左見て、
もう一度右を見て渡ったら左から車が来てた





(さっさと渡れよ)
(だって安全確認は重要でしょ)
(それで事故ってたら安全の意味ないよ)
(・・・・まぁね)







涙でぐちゃぐちゃになった顔。


何も考えたくない。


誰かに傍に居て欲しい。


私の足は勝手にあの部屋に向かう。


でも部屋には入らない。


扉の前で立ち止まったまま。


でも、きっと彼は気配で気づいているんだろうな。


ガチャ


案の定、私が扉の前で動かないでいると
先に扉の方が開いてくれた。


「わぉ、酷い顔だね」


応接室から出てくるなり、私を見て恭弥が溜息をついた。


あぁ、呆れてるんだな。


なんて、頭の隅では意外に冷静だった。


「とにかく入りなよ」


いつまでも動かない私を見て
恭弥は少し苦笑しながら私を応接室に入れた。




傍に居て欲しいのは彼だった




(仕方がないから落ち着くまで居て良いよ)
(・・・ありがとう)







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