この2つの寮は何年経っても変わらない関係よね;
〜ヒッポグリフと啖呵〜
昼食のあと、達は「魔法生物飼育学」の最初の授業に向かっていた。
昨日の雨は上がり、空は澄み切っていた。
しかし、そんな天気とは裏腹にロンとハーマイオニーは
険悪ムードで互いに口をきかないでいる。そんな二人にとハリーは溜息をつき、
二人のわきを歩きながら禁じられた森の端になるハグリッドの小屋を目指した。
前方にデコと愉快な仲間達がゲラゲラ笑っていてもは気にしなかった。
「さぁ、急げ。早く来いや!」
ハグリッドは小屋の外で待っていた。
「今日はみんなにいいもんがあるぞ!すごい授業だぞ!
みんな来たか?よーし。ついてこいや!」
ハグリッドは授業を早く始めたくてうずうずしているようだった。
「何の授業かしら?」
「さぁ?」
ハグリッドについて行きながらハーマイオニーと話した。
そして、何もない牧場のような所に着いた。
ハグリッドが号令をかけたので、生徒は柵の周りに集まった。
「そーだ。ちゃんと見えるようにしろよ。さーて、
イッチ番先にやるこたぁ、教科書を開くこったーーー」
「どうやって教科書を開けばいいんです?」
冷たい気取った声でマルフォイが言った。
その問いには周りを見渡した。マルフォイのはもちろんのこと、
他の生徒も教科書を紐でグルグル巻きに縛ってあった。
「おまえさんたち、撫ぜりゃーよかったんだ」
ハグリッドは以外の誰も教科書を
開けていたいことにガックリきたようだった。
「もしかして・・・知らなかった?」
苦笑いしながらはハリーに聞いた。
「えっ、知ってたの?」
「まぁ・・・」
「もっと早く言ってよ。僕がどんだけ格闘したかと思ってるんだい」
の何も巻かれていない大人しい「怪物的な怪物の本」を見ながら
ハリーはどうして身近なに聞かなかったんだろうと後悔した。
(ハリーも皆もさぞかしすごい格闘を・・・)
ハリーがショックを受けている様子を見て、はそう思った。
そうこうしていると、ハグリッドが牧場の向こうから
不思議な生き物を引き連れてきた。
胴体、後脚、尻尾は馬で、前脚と羽根、
そして頭部は巨大な鳥のようーーーこれは間違いなくーーー
「ヒッポグリフ!」
は珍しく瞳を輝かせて、生徒の近くの柵に
ヒッポグリフを繋いだハグリッドに言った。
「そうだ。美しかろう、え?」
嬉しそうに笑いかけるハグリッドに達
4人意外は、恐ろしげに後ろに引いていた。
「まんず、ヒッポグリフは。絶対、侮辱してはなんねぇ。」
真剣に話すハグリッドをよそに、少し下がったところで
マルフォイ達がなにやらヒソヒソ話しているのが見えた。
(何もなきゃ良いんだけど・・・)
呆れながらは嫌な予感を考えない事にした。
「よーし、まずは・・・・!おまえさんが手本を見せてやってくれ」
「へっ?」
心配事に耽っていたは、ハグリッドの言葉で現実に引き戻された。
「おまえさんなら大丈夫だからな」
「まっ、好きだからね」
軽く笑い返して目の前の柵を飛び越えた。
後ろからハーマイオニーが心配する声が聞こえた。
「ハグリッド!このコの名前は?」
が一匹のヒッポグリフの前に来ると尋ねた。
「そいつは、アルクスだ」
それを聞いたはアルクスに向かって微笑み、優雅にお辞儀をした。
暫くの間目の前のアルクスは動かなかった。
後ろの方に避難している生徒全員が冷や汗を流しながら見ている。
沈黙もつかの間、を見ていたアルクスが
ゆっくりと前脚を折り、お辞儀をした。
「よしっ、いいぞ!」
それを見たはアルクスにそっと近寄り、嘴を撫でてあげた。
アルクスも心を許したのかの頬に擦り寄ってきた。
ホッとした生徒が拍手をする中、はアルクスを遊んでいる。
「可愛いなーアルクスは」
じゃれている貴女が可愛いです。
なんて思った人、数名(笑)
「ねぇ、ハグリッド。散歩してきて良い?」
「あぁ、アルクスもに懐いているからな」
ハグリッドの許可を得たは、早速アルクスの背中にそっと乗った。
「アルクス!レッツゴー!」
アルクスは勢いよく上昇し、と共に空の散歩に出掛けていった。
「よーし、今度はおまえさんらの番だ」
ハグリッドは生徒全員を見回した。
「気持ち良いー!」
アルクスに乗ったは、ホグワーツの湖の上を飛んでいた。
箒とはまた別の飛行感覚で、それが良いらしい。
「アルクス最高!」
が褒めると、アルクスは表現しにくい鳴き声で返事をした。
そろそろ戻ろうと思ったとき、皆がいる方から誰かの悲鳴が聞こえた。
嫌な予感がしたはアルクスに超特急で戻るように頼んだ。
「どうしたの!」
が戻ると人だかりが出来ていた。
どうやら怪我人が出たらしい。
「!戻ってきたのね!どうもこうもないわ、
マルフォイがバックビークを怒らせたから怪我したのよ」
ハーマイオニーがにいち早く気づき、事情を話した。
人だかりを掻き分けると、血を流したマルフォイが喚いていた。
他の皆もパニックになっている。
「僕、死んじゃう。見てよ!あいつ、僕を殺した!」
「ったく」
は呆れながらマルフォイに駆け寄ると、杖を取り出し包帯呪文を唱えた。
とりあえずの応急処置だ。あとはマダム・ポンフリーがなんとかしてくれる。
ここでは一間置いて、大きく息を吸って口を開いた。
「男がこんな傷でぐだぐだ喚いてるんじゃないわよ!」
の怒声に、喚いていたマルフォイがピタリと黙った。
ざわめいていた周りも、の変わりようにびっくりしたらしい。
「ハグリッド、医務室に連れて行きましょ」
蒼白なハグリッドは、の言葉ですぐにマルフォイを
抱え上げ、と2人で城に向かった。
残されたグリフィンドール生とスリザリン生が言い争いをしたのは言うまでも無い。
◆アトガキ◆
久しぶりの更新です!スミマセン。
やっと通常の長さになってきた気がします;
今回勝手にヒロインのヒッポグリフとランデブーを入れました。
映画で観ていると意外と楽しそうですよね。
タイトルの啖呵ですが・・・あれは啖呵じゃない;
でもぴしゃりと黙らせたかった(笑)
戻る