「反対!!!」


バンッと昂った感情を押し付けるようにテーブルを叩く。
自分の隣には座木。そして目の前には秋が座っている。



これは薬屋を離れる少し前の話。
秋がわざわざ遠回りのおつかいをリベザルに頼んでまで追い出し、
出た一言がこれだった。


「暫く旅に出る。リベザルはここに置いてくけど」


いつもの冗談かと思って秋を見たら、彼は真剣にこちらを見ていた。
その言葉に瞬時に反応できなかった。そして冒頭に至る。


「いくら何でも急すぎるわ!」


「別に急でもないんだけどな」


「だからって!」


思わず身を乗り出す私の袖を座木が押さえた。


「離して座木」


少し声を荒げて隣の座木を見ると、
彼はどこか悲しそうな顔をしながら首を横に振った。
彼だって分かってるのだ。


「そろそろ師匠離れして欲しいんだけどね」


「でもっ!」


、僕はリベザルに成長してほしいんだ」


「・・・っ」


秋の真っ直ぐな目に思わず視線を外す。
分かってる。2人の気持ちもちゃんと分かってる。


だってそうだろ?」


「そう・・・だけど・・・」


そうだけど。







さっきよりも優しくなった声色で自分の名前を呼ばれる。
そして顔を上げて秋を見る。彼の綺麗な目と自分の目が合う。


「っ・・・分かった・・・」


そう言って椅子に座った。
隣の座木がそっと手を放してくれた。



「ちょうどだな」


秋がそう言うと同時に店の扉が開く音がした。


「ただいま戻りましたー」


入り口からリベザルの声がした。
私は勢いよく立ち上がり急いでリベザルの元へ向かった。


「お帰り。荷物重かったでしょ?」


「師匠のお菓子のせいで」


眉間に皺を寄せるリベザルに思わずクスクス笑った。





今だけ。

あと少しだけ。

4人でいられるこの時間を。

大好きなこの空間を。

それが私の我侭でも。





数日後、深山木薬店から3人の姿がなくなった。
それぞれの道を歩くために。
















(大丈夫、また会えるよ)(だから忘れないで)



















◆アトガキ◆
復帰1発目が薬屋だよ。
なんか無性に書きたくなったんです。スミマセン。
原作と軸が合ってないので捏造軸で。。。











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