いいか、ママの言う事をちゃんと聞くんだぞ」
「ちゃんと良い子にしてるもん」
そう言ってはパパの大きな手で頭を撫でてもらってから
お仕事に行くパパを見送る。
それはいつもの光景。
「ーお昼ねしましょうね〜」
時間も午後を回った頃。
暖かく眩しい日差しが部屋の中に差し込む。
この時間は決まってママとお昼寝。
あまり眠くないはそれでもママとソファーに寝転ぶ。
それから数分後、の隣ではママはぐっすり眠っている。
一方は、ぱっちり目が開いている。
いつもは眠い時間なのに、今日に限って目が覚めているのだ。
はママを起こさないようにそっとソファから抜け出した。
そして家の中を探検することにしたのだ。
目的地は・・・入っちゃいけないよと言われているパパの仕事部屋。
今年で4歳になる好奇心旺盛なは、入ってみたいと常々思っていたのだ。
は足音を立てずにパパの仕事部屋まで行き、
頑張って背伸びをしてドアノブを回し、部屋の中に入った。
「わぁ〜!」
部屋の中には物が沢山あった。
ずらりと並んだ古そうな本、沢山の薬草や鍋。
は部屋の中に目を行き渡らせた。
そして、机の上に一際キラキラするものを見つけた。
さてさて好奇心旺盛なは、触らずに入られません。
目を輝かせながらは机に駆け寄り、
椅子によじ登り机の上のキラキラ光る物体を手に取りました。
すると、がキラキラ光る物を触った瞬間
はその光に吸い込まれてしまったのです。
誰も居ないパパの仕事部屋。
それは小さな事件のきっかけでした。
〜パパを訪ねてホグワーツ〜
所変わってホグワーツ。
「げっ、次の授業スネイプだぜ」
次の授業を受けるべく廊下を歩いている3人組。
言わずと知れた、ハリー・ロン・ハーオニーだ。
「貴方達宿題はやったんでしょうね?」
「あはは、もちろんさ」
「なんとかね」
間髪入れずに質問するハーオニーに
ハリーとロンは少し苦笑しながら答えた。
「まっ、宿題やってもじゅぎょうで減点されるのが落ちー」
「きゃっ!」
「うわっ!」
ロンが喋っている時に何かが落ちてきた。
同時に3人は驚いた。
「っててて・・・」
「あれ?」
「子供?」
光に吸い込まれたは見知らぬ場所に落ちてきました。
しかも目の前には知らない人が3人。
普段パパとママ以外の人に会うことが少ないは
目の前の知らない人に不安を覚えた。
「大丈夫よ。私達怪しい人じゃないから」
そのの不安を読み取ったのかハーオニーが
の目線まで腰を下げ、優しく言った。
「どうしてこんな所に子供が?」
怪訝そうな顔をしてロンが言った。
はロンを見上げ、また不安そうな顔をした。
「私はハーオニーで、こっちはロン、こっちはハリーよ」
そう言って、ハーオニーは簡単な自己紹介をした。
それに沿っては指を差しながら名前を復唱した。
「ハーおねえちゃん?ロンおにいちゃん?ハリーおにいちゃん?」
よくできました、とハーオニーが褒めてあげると、は嬉しそうに笑った。
どうやら、ハーオニーは子供の扱いが上手いらしい。
「あなたのお名前とどうやってここに着たのか教えてくれる?」
「名前はって言うの。
・・・パパがお仕事に行ってママはおひるねしちゃったから・・・
ないしょでパパのお仕事のおへやに入ったの。そしたら・・・
キラキラしたのがあったから・・・さわってみたらここに来ちゃったの」
はたどたどしい言葉でハーオニーに説明した。
「もしかして・・・それポートキーじゃないかな?」
「多分そうね」
の説明でハリーはポートキーという答えを出した。
ハーオニーも同意見らしかった。
「で、どうするの?その子」
ロンが困惑しながら聞いた。
するとその時向こうから誰かがやって来た。
「おや?こんな所でどうしたんだい?」
「ルーピン先生!」
声を掛けてきたのは闇の魔術に対する防衛術の先生である
リーマス・ルーピンだった。
「それがー」
「!?」
「リーマスおじちゃん!」
ハリーが説明しようとした時リーマスが素っ頓狂な声を上げた。
「おっおじちゃん?」
「先生この子のこと知ってるんですか?」
「あっ、あぁ。何でがこんな所に?」
駆け寄ってきたをリーマスは軽々抱き上げ不思議そうな顔をした。
「この子、家にあったポートキーに触って
ホグワーツに来ちゃったみたいなんです」
ハリーとロンが事態を読み込めずアタフタしている中、
ハーオニーが落ち着いて説明した。
「、パパの書斎に入っちゃったのかい?」
「ごめんなさい。でもパパには言わないでね!」
「言わないから大丈夫だよ」
ウルウルした目でお願いされたら誰も断れないだろう。
(こういうところは全く似てないね・・・)
に見つめられるリーマスは内心溜息を付いた。
「先生、どうしますか?」
「そうだね・・・。そうだ君たち次の授業は?」
「・・・魔法薬学です」
ロンが苦い顔をしながら言った。
それを聞いたリーマスはを抱えながらニヤリと笑った。
こういうところは学生時代から変わっていない。
「3人とも、を一緒に連れてってくれないかい?」
「スネイプ先生の授業にですか!?」
これにはハーオニーも驚いた。
「もちゃんと大人しくしていられるから大丈夫だよ」
面白いものも見れるしね、と小さな声で付け加えた。
「分かりました」
「連れてくか」
「大丈夫かな」
そう言いつつも、3人とも渋々承知した。
というかリーマスの悪戯っぽい笑みが怖かったとか。
不安そうにしているハリー達を他所に、
リーマスはにそっと耳打ちした。
「ハリーたちと一緒に行っておいで。パパのお仕事見れるから」
「ほんとっ!?やったー!」
の嬉しそうな顔を見ながら
これから起こることに笑いが隠せないリーマスだった。
「何か妹ができたみたいで嬉しいわ」
ハーオニーは自分と手を繋いでいるを見て嬉しそうに笑った。
「でも大丈夫かな〜スネイプの授業に連れてって」
「ルーピン先生は大丈夫だって言ってたけど」
「それに面白いものも見れるとかどうとか言ってたし」
ロンとハリーの不安を他所には笑って歩いている。
そうこうしているうちに、魔法薬学の教室に来てしまった。
扉を開けると、幸いスネイプはまだ来てないようだった。
3人とは目立たないように後ろの席に座った。
腰を下ろすとちょうど良いタイミングでスネイプが入ってきた。
「では授業を始める」
つかつかと黒板まで歩いていつもの調子で授業を始めるつもりだった。
どこからともなく可愛らしい声が聞こえるまでは。
「パパー!!!」
後ろに座っていたがスネイプを見つけた途端身を乗り出して
笑顔で手を振っている。
「「「「ぱぱぁ〜!?」」」」
「!?」
その場に居た全員がフリーズし、誰もが驚いて後ろを振り返った。
ハリーもロンもハーオニーも一斉にを見る。
もちろん呼ばれた当の本人であるスネイプもだ。
しかしは驚いている人たちにはお構いなしに
椅子を飛び降り真っすぐ無邪気に笑いながらスネイプのもとに駆け寄った。
「ママはどうした?何でこんな所に?今はお昼寝の時間じゃないのか?」
抱きついてきたを受け止めスネイプはあれこれ質問を浴びせる。
「ママはお家で寝てるよ。いろいろあってここに来ちゃったの」
は怒られるのが怖くて、書斎に入った事は黙っておいた。
「さっきねリーマスおじちゃんに会ったの!そしたらハリーおにいちゃんたちと
一緒に行けばパパに会えるって教えてくれたの」
その言葉にスネイプはギロリと後ろに居たハリー達を睨んだ。
「あははは」
睨まれた3人は小さく乾いた笑いを返すしかなかった。
「とにかくお家に帰りなさい。今ポートキー持ってー」
「やだっ!、ハリーおにいちゃんたちと一緒にいる!」
を返そうとするスネイプには反発した。
「」
スネイプが咎めようとするとが叫んだ。
「パパのお仕事見てる!」
「だがー」
中々折れないスネイプには奥の手を使った。
「邪魔しないから良いでしょ?」
リーマスにも使ったウルウルの目で
スネイプにおねだりしたのだ。
(娘よ・・・可愛すぎる!)
内心ではかなり喜んでいる親バカなスネイプ。
普段の生徒からでは想像できない光景だ。
「我輩の授業だけだぞ」
やっぱり可愛い娘には弱い魔法薬学教師のセブルス・スネイプ。
そんな性格を知ってか知らずかは心の中で微笑んだ。
きっと誰かさんの影響を受けたのだろう。
教育上良くないから気をつけてくださいね。
「わぁ〜い!パパありがとう!」
は極上の笑みでスネイプの頬にキスをして
はスネイプから離れハリー達の所へ戻った。
席に戻ったはちゃっかりハリーの膝の上に乗っている。
そんな光景を目の当たりにし、スネイプはハリーをギロリと睨んだ。
そして仕方なく咳払いをし、授業を進めるのであった。
パパさんの災難はまだまだ続きそうです。
END
◆後書き◆
パパスネ・・・とうとうやっちゃいましたよ。。。
娘がホグワーツに来てビックリ事件書いてみたかったんですよ。
リーマスも友情出演で(笑)
あっ、後日談としてリーマスはセブにこってり怒られました(笑)
前編・後編に分けるつもりが・・・結局1つに;スミマセン。。。
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